足場鳶を含む建設技能工の業界は、1997年のピークから就業者数が200万人以上減少しており、高齢化と若年層の減少による深刻な人手不足に直面しています(データによると2025年には労働人口が約90万人不足すると予測されています)。このような背景から、多くの建設・鳶職企業が未経験者や異業種からの転職者を積極的に受け入れており、転職市場は売り手優位の状態が続いています。特に、国土交通省主導のi-Construction(アイ・コンストラクション)やDX化推進により、建設現場の生産性向上は図られているものの、現場作業の核となる足場鳶の需要は安定しており、手に職をつけたい人にとって大きなチャンスと言えます。
足場鳶転職市場:平均年収と地域別動向
鳶職人の全国平均年収は約401万円とされていますが、地域やスキルによって大きな差があります。平均年収が高い地域は関東地方(約439万円〜505万円)や近畿地方(約418万円〜425万円)で、特に東京都は高い水準にあります。一方で、それ以外の地方では平均347万円〜396万円程度と開きが見られます。ただし、地方は都市部より生活コストが低いことを考慮する必要があります。
動画の舞台である愛知県豊川市は、製造業が盛んな地域であり、工場や倉庫、住宅関連の工事需要が安定しています。この地域は名古屋市などの大都市圏へのアクセスも良く、広範囲の現場に対応する企業も多いため、仕事量が豊富で安定しています。地方の建設業では、地域密着型の企業が多く、都市部のような超高層ビル案件よりも、地元のインフラや住宅のメンテナンス・新築工事が中心となり、安定した経営基盤を持つ企業が多い傾向があります。未経験者にとっては、基礎から丁寧に指導を受けやすい環境であると言えます。
資格取得ロードマップ:未経験からのキャリア設計
足場鳶のキャリアは資格取得と実務経験が直結しています。最も重要な資格は、高さ5メートル以上の足場作業の指揮監督に必須の足場の組立て等作業主任者(国家資格)です。この資格は、満21歳以上で3年以上の実務経験が必要とされます(土木・建築系の学科を卒業していれば2年)。
| キャリアフェーズ | 取得資格の目安 | 受講要件 | 取得期間目安 |
|---|
| 入社1年目 | 足場の組立て等特別教育、玉掛け技能講習 |
| 実務経験不要(入社後すぐ) |
| 3日〜1週間 |
入社3年目 足場の組立て等作業主任者(受講資格獲得)
3年以上の実務経験
2日間の講習と修了試験
入社5年目 職長・安全衛生責任者教育
実務経験不要
2日間の講習
入社10年目 独立開業、または現場管理者・専門エキスパート
企業のキャリアパスによる
スキル次第
多くの企業は、未経験で入社した社員に対し、特別教育や技能講習の費用を負担する資格取得支援制度を設けています。まずは特別教育を修了することで、足場作業の基本的な業務に携われるようになります。