介護業界の市場規模と深刻な人手不足の現状
介護保険総費用は、高齢者人口の増加を背景に拡大を続けており、
令和5年度には11兆5,139億円を超えたと報告されています。市場は今後も拡大が見込まれる成長分野である一方、介護職員の有効求人倍率は
全産業平均(約1.13倍)を大きく上回る3.63倍(令和5年)とされており、人手不足は極めて深刻な状況にあると指摘されています。特に、介護とケアマネジメントの知識を併せ持つ人材は市場価値が高く、キャリアアップを目指す転職者にとっては追い風であると言われています。
介護職員の具体的な年収データと地域格差
介護職員の平均年収は
全国平均で約363万円(男女合計)と報告されていますが、地域や保有資格によって大きな差があるのが現状です。例えば、都市部である
大阪府の平均年収は約402万円と全国平均を上回る傾向にありますが、地方都市では平均を下回ることも多いとされています。また、
介護職員初任者研修のみを保有する職員と、
介護福祉士(国家資格)を保有する職員では、
月額で約1万円〜3万円程度の給与差が生じることが一般的であり、資格取得が年収アップの重要な鍵となると考えられています。
| 地域 | 平均給与額(月収) | 平均年収(概算) |
|---|
| 関東(東京・神奈川) | 27.7万円前後 | 330〜405万円前後 |
| 関西(大阪・兵庫) | 26.1万円前後 | 312〜402万円前後 |
| 北海道・東北 | 23.1万円前後 | 276〜338万円前後 |
| 九州・沖縄 | 22.9万円前後 | 275〜333万円前後 |
※上記は介護職員全体の平均値であり、経験年数、保有資格、施設形態によって大きく変動する可能性があります。
未経験からケアマネジャーを目指すキャリアパス詳細
ケアマネジャー試験の受験資格は「
特定資格(介護福祉士、看護師など)保有+実務経験5年以上」が主要ルートとされています。未経験者はまず介護職員として入社し、以下のステップでキャリアを築くことが一般的です。
*
入社1年目(基礎固め): 介護職員初任者研修の取得(無資格入社の場合は働きながら取得)と、OJTによる介護技術の基礎習得。利用者とのコミュニケーション能力を磨き、介護現場のリアルを把握する期間とされています。
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入社3年目(専門性向上): 実務者研修の修了と、可能であれば
介護福祉士(国家資格)の受験・取得。専門的な知識・技術を習得し、チームリーダーやユニットリーダーなどの役職を経験し始める段階です。
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入社5年目以降(ケアマネジャー受験資格獲得): 介護福祉士取得後5年以上の実務経験を積み、
ケアマネジャー試験の受験資格を獲得。企業によっては資格取得にかかる費用を全額補助するなど、長期的なキャリアアップを支援する制度を設けているとされています。ケアマネジャー資格取得後は、現場経験を活かしたケアプラン作成業務へと移行します。
介護業界のトレンド:DX化と地域包括ケアの影響
介護業界では、人手不足解消と業務効率化のため、
介護ソフトやAI、見守りセンサーなどのDX化が進んでいます。これにより、介護記録作成や情報共有の時間が短縮され、利用者のケアに集中できる環境が整いつつあります。また、「
地域包括ケアシステム」の推進により、医療機関、介護サービス、行政などが連携する多職種連携が重要となっており、特にケアマネジャーは
地域に根差したサービス調整の要としての役割が増しているとされています。未経験から転職を考える際は、このようなDX化や地域連携に積極的な企業を選ぶことが、将来のキャリアを築く上で有利になると考えられています。