建設・不動産業界の人手不足と若年層への採用動向
建設業界は、1997年度のピーク時(685万人)から
約30%も就業者数が減少しており(出典:国土交通省)、現在も高齢化と若手の入職者不足による人手不足が最も深刻な業界の一つと報告されています。国土交通省の調査(令和7年8月調査)でも、主要8職種のうち鉄筋工(建築)以外は依然として
人員不足が続いています。有効求人倍率は建設躯体工事従事者で
10倍超となるなど(出典:厚生労働省、令和5年12月)、人材の需要は極めて高い状況にあると言われています。
このような背景から、動画の引用文にあるように『若い人、大歓迎です。学歴も関係ないんで』といった
ポテンシャル重視の採用が加速しています。企業は、未経験者に対して資格取得支援や充実した研修制度を提供し、長期的な人材育成を見据えた採用戦略へとシフトしていると考えられます。特に2024年4月以降、建設業にも
時間外労働の上限規制が適用され、働き方改革の推進と生産性向上が急務となっており、DX化に対応できる若手人材の確保は喫緊の課題とされています。
施工管理技士の具体的な年収データとキャリアパス
建設業界における年収は、資格と経験年数に強く相関しています。特に、施工管理技士はプロジェクトを統括するポジションであるため、年収も高水準となる傾向が見られます。
| 経験年数(建築施工管理) | 平均年収帯(全国平均) | 3-5年後の年収目安 |
|---|
| 0年(未経験) | 360万円〜400万円程度 | 429万円〜543万円 |
| 5~9年 | 543万円 | 500万円〜700万円超 |
| 15年以上 | 678万円 | 700万円〜1,000万円超 |
出典:施工管理求人サイトデータ(複数のデータソースを基に集計)
未経験から管理職へのキャリアパス:
•
入社1年目: 現場作業、安全管理の基礎OJT。業界用語や工具の名称習得に注力する期間とされています。
•
入社3年目: 専門技術の習得。現場作業員として経験を積みながら、
2級施工管理技士(受験資格に必要な実務経験期間)の資格取得に向けた学習を開始する時期とされています。
•
入社5年目:
主任技術者として小規模現場を任される立場や、チームリーダーに昇進する傾向が見られます。年収も500万円以上に到達する事例が多く報告されています。
•
入社10年目以降:
1級施工管理技士を取得し、大規模プロジェクトの
監理技術者や現場代理人、あるいは本社での管理部門・技術指導部門への道が開かれるなど、管理職・エキスパートとしてのキャリアを形成できます。
建設業界の地域別求人動向とDX化トレンド
都市部では、オフィスビルや大規模マンション、商業施設などの
大型建築に関する施工管理や、不動産売買・賃貸管理の専門職の求人需要が高い傾向があります。大手ゼネコンやディベロッパーの求人が多く、高年収を狙いやすい環境と言われています。
地方では、
地域密着型の工務店や土木工事、住宅リフォームを担う企業が求人の中心となる傾向があります。例えば、
富山県では公共工事やインフラ維持管理に関する求人が安定しており、
転勤なし、
土日祝休み、
年間休日120日以上といった働きやすさをアピールする企業が増加していることが確認されています(出典:富山県求人情報)。地域密着企業では、地元での安定雇用や地域社会への貢献を重視する人材が求められる傾向が強いと言えます。
技術トレンドとしては、建設業界でも
建設DX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進んでおり、BIM/CIM(3次元設計モデル)、ドローンによる測量、ウェアラブル端末を用いた遠隔臨場(リモートでの立会い・検査)などが導入されています。矢野総合研究所の推計によると、2024年度の建設現場DX市場は
586億円規模とされ、これにより生産性の向上、安全性の向上、そして
技術継承の効率化が図られると期待されています。ITリテラシーや新しい技術への学習意欲は、今後、建設業界で活躍するための必須スキルとなると考えられています。