青果卸売市場の市場規模と深刻化する人手不足
青果卸売業界は、食のインフラを支える年間約
8.5兆円(青果物全体)の巨大市場の一部を担っています。しかし、他の卸売・小売業と同様に
人手不足が深刻化しており、パーソル総合研究所の推計では卸売・小売業全体で2035年までに
77万人相当の労働力不足が予測されています。特に早朝からの業務や肉体労働が伴う市場関連職種は、若年層の採用が難しく、未経験者歓迎の求人が増加傾向にあるとされています。このため、異業種からの転職者にとっては
大きなチャンスが広がっていると言えます。
青果卸売業の年収データとキャリアパス詳細
青果卸売市場の平均年収は、全国平均の年収と比較して同等か、やや高い水準にあるとされています。一例として、大手卸売会社の平均年収は
600万円台と報告されており、市場の
営業職の場合、未経験者で
300万円~350万円程度の年収相場からスタートし、経験を積んだ
セリ人や
チーフクラスになると
400万円~500万円以上を目指せるとされています。キャリアパスは、まず
営業アシスタントとして現場の仕分け・加工・配送などの
業務全般を習得し、その後、
営業職として仕入れ先や販売先との商談・新規開拓を担当するのが一般的なルートとされています。将来的には、チームリーダー、部署のマネージャー、
バイヤー、あるいは
独立など、多様な道が開ける職種です。
| キャリアステップ | 経験年数目安 | 主な役割・スキル習得 | 取得推奨資格 |
|---|
| 営業アシスタント | 1年目 | 荷物の積み下ろし、仕分け、加工、在庫管理などの基礎業務 | 食品衛生責任者 |
| 営業補佐・中堅 | 3年目 | 既存顧客との取引管理、商品知識の深化、簡単な商談 | フォークリフト運転技能者 |
| 営業・リーダー | 5年目 | 産地との交渉、新規開拓、売場提案、チームマネジメント | 中小企業診断士(任意) |
| マネージャー・バイヤー | 10年目以降 | 経営戦略参画、大規模な仕入れ、部門全体の統括 | - |
地域別求人動向:神戸市中央卸売市場と地方市場の違い
青果卸売市場は、都市部の
中央卸売市場と地方の
地方卸売市場に大別され、それぞれで求人動向に違いが見られます。動画で紹介された
神戸市中央卸売市場のような都市部の市場は、取引量が多く、
多様な品目を扱い、大手スーパーや食品加工会社など
大規模な販売先との取引が多いのが特徴とされています。このため、
営業や
貿易関連のキャリアチャンスも豊富にあると言われています。一方、地方の市場では、地域特産の青果物や地元の小売店、飲食店への供給が中心となり、より
地域密着型で、仕入れ・販売・加工を少人数でこなす
マルチタスク能力が求められる傾向にあるとされています。転職を考える際は、勤務地となる市場の特性を理解した上で、自身の志向に合うかを判断することが重要です。