SESエンジニアの転職市場:競争率の高さと「偏見なし」採用の増加
情報通信業界の
市場規模は年間約55兆円とされ、DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速に伴い、エンジニアの需要は継続的に高い水準にあると報告されています。しかし、特に
自社開発企業や大手SIerの求人は人気が高く、事業会社で経験を積んだエンジニアは
スカウト媒体に登録すると月間300~400件のメッセージを受け取ることもあり、競争率が極めて高いと指摘されています。しかし、この高倍率を背景に、多くの企業が採用対象を広げ、
SES出身者を積極的に採用する傾向が強まっているとされています。背景には、採用担当者であるCTOやエンジニアリングマネージャーの中に
元々SIerやSES出身者が増えている点があり、SES出身者に対する
偏見が薄れつつあることも採用加熱の一因と考えられています。
具体的な年収データとキャリアパス詳細
SESエンジニアの
平均年収は約450万円前後とされていますが、勤務先や資格によって大きな差が見られます。
開発経験3年(Java/PHPなど)があれば、
年収550万円以上が提示されるケースが多く、高いスキルを持つ人材は
年収900万円〜1,000万円も十分に狙えると報告されています。さらに、テックリードやエンジニアリングマネージャーなどの管理職ポジションでは、
年収1,000万円からの提示も珍しくないとされています。キャリアパスは多様で、
入社1年目でOJTを通じて基礎スキルを習得し、
3年目には後輩指導や特定の技術(クラウド、セキュリティなど)の専門技術を習得、
5年目でプロジェクトリーダー(PL)やプロダクトマネージャー(PM)に挑戦し、
10年目以降はアーキテクトなどの技術スペシャリストまたは、複数プロダクトを統括する管理職を目指すロードマップが一般的とされています。
| キャリア段階 | 期間目安 | 主な役割・スキル | 想定年収レンジ |
|---|
| ジュニア | 入社1〜3年 | 基礎実装・OJT・3級/2級整備士資格取得支援 | 350万円〜500万円 |
| ミドル | 入社3〜5年 | 専門技術習得(クラウド/セキュリティ)・PL/PM補佐 | 500万円〜750万円 |
| シニア | 入社5〜10年 | テックリード/アーキテクト/PM・マネジメント | 750万円〜1,000万円 |
SESエンジニアの転職:地域別の求人動向と成功戦略
都市部(東京、大阪など)では、
自社開発のSaaS企業や、金融系・インフラ系の
大手SIerグループの求人が特に活発で、
高年収やリモートワークなどの柔軟な働き方を提示する企業が多い傾向が見られます。一方、
地方(札幌、福岡など)でも、
自動車アフターマーケットのような特定領域でトップシェアを持つ企業の
開発拠点や、
ポテンシャル採用枠を設ける企業が増加しており、地域に根差した開発に取り組むチャンスがあるとされています。例えば、
福岡ではポテンシャル採用を重視し、
経験年数が少ない若手エンジニアにも積極的に内定を出している企業事例が報告されています。地域別での年収差は都市部の方が高い傾向にありますが、地方都市でも
スキルや経験に応じて600万円以上の提示は十分に可能であり、生活コストを考慮すると地方での高年収転職も十分な魅力を備えていると言われています。