ITエンジニアの人手不足と未経験者採用の実態
日本国内のIT市場はデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展により高い成長を続けており、それに伴いIT人材の需要は年々増加しています。特に、
先端IT人材(AI、データサイエンティストなど)の不足は深刻で、経済産業省の試算では、2030年に最大で約79万人のIT人材が不足する見込みであると報告されています。この深刻な人手不足を背景に、多くのIT企業が
即戦力の確保が困難であると認識し、「
ポテンシャル採用」へと舵を切っています。これは、経験よりも
学習意欲、
問題解決能力、そして動画の引用にもあるような
自己管理能力といった基礎的なビジネススキルを重視する採用方針であり、未経験者にとってキャリアチェンジの大きなチャンスとなっています。前職が営業職、販売職、事務職など、ITとは無関係の分野であっても、その業界の知識(
ドメイン知識)をITと結びつけて活用できる点が評価されるケースも増えています。
ITエンジニアの平均年収と地域別・経験年数別の比較
ITエンジニアの平均年収は、全国平均で約
442万円程度とされていますが、経験年数や地域によって大きな差が見られます。
経験3年までのジュニアクラスでは年収
350万〜450万円、プロジェクトの一部を担う
経験5年程度では年収
450万〜600万円、プロジェクトリーダーやマネージャー(
経験10年以上)では年収
600万円以上を目指せる傾向にあると報告されています。地域別では、東京を中心とする
関東地方の平均年収が最も高く、約
456万円、次いで大阪を中心とする
関西地方が約
438万円と、都市部にIT企業が集中しているため、賃金が高くなる傾向が顕著です。一方、地方では平均年収が都市部より低い傾向にありますが、
リモートワークや
地方IT企業の積極的な採用により、生活コストを考慮すると十分な生活水準を維持できる可能性が高まっています。特に福岡、札幌、仙台などのIT企業誘致に積極的な地域では、採用が活発化していると言われています。
IT業界におけるキャリアパスの詳細:10年でエキスパートへ
IT業界でのキャリアパスは多岐にわたりますが、一例として開発エンジニアの一般的なロードマップは以下の通りです。
| 経験年数 | 役職・役割 | 業務内容 |
|---|
| 入社1年目 | アシスタントエンジニア | 基礎研修・OJT、プログラミング学習、テスト業務などの補助業務習得 |
| 入社3年目 | ジュニアエンジニア | 専門技術習得(特定言語のマスター)、後輩指導開始、基本情報技術者などの資格取得 |
| 入社5年目 | ミドルエンジニア/リーダー | チームリーダー、プロジェクト管理の補助、要件定義への参画、高度技術対応 |
| 入社10年目 | シニアエンジニア/管理職 | プロジェクトマネージャー、技術コンサルタント、独立開業、専門分野のエキスパート |
このように、未経験で入社しても、3年〜5年で現場の即戦力となり、10年で経営やマネジメント、あるいは高度な専門技術のスペシャリストへとキャリアを築くことが可能であるとされています。